
北上山地の最高峰、早池峰山。その麓の山あいに拓かれた集落、タイマグラ。
戦後間もなく、ここに数軒の農家が入植し、出づくり小屋が建てられました。
その中の一軒に最低限の手をいれて開かれたフィールドノートは、山小屋とも民宿とも言えないような小さな宿です。
寝袋ひとつでタイマグラに移り住んだ宿主。常連から住人になった女将。
三人の息子と猫が加わり、育ち、巣立ち、戻り…
私たち家族の時間のなかにお客さんを迎え、日々綴られてきたフィールドノートは、人と人の、人と自然の境界が曖昧なちょっと不便な宿です。
何度も季節が巡り、咲く花や、吹く風の名を覚えたいつもの風景の中にも、足を止めるような美しさを見つけることがあります。
同じように過ぎてゆく日常の中で、二度と来ることのない瞬間を見つけることは、すぐそばに流れる非日常に出会う「旅」のようでもあります。
旅をするように暮らし、暮らすように旅をする。
旅する人の心がそれぞれの場所にかえったとき、皆さんの毎日の暮らしが、そして傍にいる人との時間が、少しだけ豊かなものになることを願って、フィールドノートのページは続きます。
フィールドノート
